2022年11月19日(土)
劇場公開
川野邉修一 監督作品
監督コメント
ボクは同性愛者です。 世間一般でいうゲイです。 そのことを隠すつもりはないのですが、公表しなければいけない理由もありません。 ただ、映画を制作していく過程において、自分のセクシャリティが表現に影響を及ぼしていると思うことが多々ありました。 それは演出するときに、シナリオを書くときに、映画祭で観客の感想をいただいたときに、多くの場面で感じるようになりました。
果たして自分の考えや気持ちをきちんと相手に伝えられているだろうか。 自分が隠してきたこと、曖昧にしていることと向き合って映画制作を行う必要があるのではないかと考えるようになり、この題材を選びました。 特に、ゲイだからといって何か劇的なドラマが日常にあるわけではなく、普段の生き様も描いていきたいです。 また、ゲイの人だけでなく、性別や年齢、国内外問わず多くの人に観てもらいたいです。
ホームパーティー上で飛び交う彼らの目線の中に、どういった思惑・感情があるか、観客も一体となり、みんなで探っていけたら嬉しいです。
あらすじ
恋人、家族... それとも?
都内の大学に通う『智也』は、好意を抱いていた友人の幸平に「好きな人がいる」と告白される。 その時の出来事を相談したい一心で、新宿二丁目にやってくるものの、なかなか一歩を踏み出せないでいる智也。 そんな姿を見兼ねたゲイバーの店子『将一』は彼を自分の店に招待する。
その一方で、別れた恋人との傷心を忘れ去るようにゲイクラブで飲み明かす『正志』。 クラブの店員『直樹』に悩みを打ち明け二人は親密になるが、お互いに関係をはっきりさせることができずにいた。
翌朝、いつもと同じように会社で勤務する『彰人』。 乗り気でない会社の飲み会も終えて家に着くが、同棲しているパートナー『靖』はまだ帰ってきていない。 浮気を知りながらも、そのことを話せずに、ホームパーティーの準備を勝手に進める彰人。 また、靖もそんな自暴自棄に振る舞う彰人とどう向き合えばいいのかわからずにいた。
ホームパーティーに、智也も急遽参加することになり、彰人の家に招かれる一同。 美味しいご飯やお酒で楽しい時間が続く中、しばらくして靖の友人で写真家の『健一』がパーティーにやってくる。 アーティストという肩書やルックスで健一は注目を集める中、彰人だけ別の感情を抱いていた。
夜が更けていき、酔いも進む中、楽しいパーティーは少しずつ形を歪めて、心に閉じ込めていた各々の思惑や感情が溢れ出していく...。